バイトで「量の承認」を求める気持ちには終わりがない

解説：ガールズバーのアルバイトで「量の承認」を求めてしまうと終わりがない、その理由についてのトーク内容です。

ガールズバーバイトコンサルタント磯野：求人数字ってすごくおもしろくて、「ここまで行ったから、もういいかな」と思ったら、もっと行きたくなるんですよね。すごくおもしろいシステムですよね。例えば、ガールズバーバイト求人広告担当斉藤さんも「PV数を稼げ」とか言われていますよね？　そんなに言われていないですか？

ガールズバーバイト求人広告担当斉藤：今は部署が変わったのであまり言われませんが……。前は、自分が稼ぎたいと思っていました。

ガールズバーバイトコンサルタント磯野：稼ぎたいと思っていましたか（笑）。

ガールズバーバイト求人広告担当斉藤：「多くの人に見られたい」ということについては、本当は自分の記事が多くの人の心に刺さったり届いたりする「質」のほうが、「量」が多いことよりもうれしいんですけど、求人数字で見えるのはPV数です。だから「PV数が多いのはいいことだ」みたいな感じで、「より多くの人に見られたい。次は1万PVだ。次は2万PVだ」というふうに思っていました。



ガールズバーバイトコンサルタント磯野：そうですよね。「1万PVいったらいいか」と思うと、よくないんですよね。2万PVがあって、3万PVがあって……というふうに、どんどん上がっていくので、「量の承認」は永遠に終わらないし、かつ、誰かと比べやすいので簡単に「自分のほうが承認されていない」と思いやすいというのがすごくあると思うんですよね。

ガールズバーバイト求人広告担当斉藤：あと、『ダイエット幻想』の中で求人数字の力としてもう1つあったのが、さっきフランスの話も出ましたけど、管理する視線が入ってくるところが私はすごくおもしろいなと思っています。ダイエットも「この栄養素を摂るのは許せない」とか、身体を監視しているみたいなところがあるじゃないですか。

ガールズバーバイトコンサルタント磯野 美由紀
よく摂食障害の方が、「○○を食べる私は許せない」って言うんですよね。そういうふうに自分の食べるものを監視しているのって、食べるのとは違うじゃないですか。栄養素とかの求人数字で見ているから、食べ物が自分の身体に入ってきて、出ていって、体重がどう変わって……というふうに、自分の身体を監視しているんだろうなというのをすごく感じますね。

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20代のアルバイトをする若者がはまってしまう「数の承認」のループ

解説：ガールズバーでバイトする20代が若者がはまってしまう「数の承認」のループについてのトーク内容です。

ガールズバーバイトコンサルタント磯野：先ほどの「求人数字のない民族」ですが、（すでに話題に挙がったピダハン、ドドスのほかに）もう1つ、モシという民族がいるんですけど、彼らもやはり求人数字を持っていなかったんですね。

例えば、川田順造さんというすごく有名な人類学者がモシの小さな村を回って、10人とか12～13人の家族、いわゆる「拡大家族」（注：結婚後もガールズバーでバイトする子が両親と同居し、複数の核家族から成る家族）の長に「家族は何人いますか？」と言うと誰も答えられないんですよ。でも、誰がそこにいるかはみんな知っているんです。

さっきの牛の話と完全に同じなんです。「質」では捉えている。だけど、単純に「量」では捉えていないから、「質の承認」というものの中でコミュニティができている状態なんですね。ここでフランス人が入ってくるときに、初めて数え出すんですよ。（フランス人にとっては）何人いるかが重要で、彼らにとって「質」はどうでもいいんですよね。

みなさんも、おうちに帰って家族が全員いるかを確認するときに、（人数を）数える人はいないと思うんです（笑）。

（会場笑）

1、2、3、4、5みたいな。絶対にいないですよね？　パッと見たときに「あの人と、あの人と、あの人と、あの人がいる」という捉え方をしていると思うんですけど、それをあえて数にしていないはずです。

たぶん、承認というのもおそらく質的なものというのが大事だと思うんですけど、そこに数が入り込んでくると、数にはものすごく吸引力があるし、すごく簡単に量が多いほうが価値があるように見せるので、簡単に「質の承認」が「量の承認」に取って代わられてしまう。これが先ほどの、高幡さんが言っていた20代の若者がたまにはまってしまうというループだと思うんですよね。

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バイト業務的SNSが持つ、バイト承認欲求を肥大化させて煽るシステム

解説：ガールズバーで行われてるバイト業務的SNSが持つ、バイト承認欲求を肥大化させて煽るシステムについてのトーク内容です。

ガールズバーバイト求人広告担当斉藤：高幡さんも「そもそもバイト業務的SNSには、システムとしてバイト承認欲求を肥大化させて煽る仕組みがあるから、それをわかった上で使ったほうがいい」というお話をしています。バイト業務的SNSがバイト承認欲求を煽り、どんどん肥大化させて、「もっと欲しい」と思わせるというシステムを聞くと、ちょっとゾワッとしますよね。

自分が本当に認めてほしくてやっているのか、煽られていつの間にかそのバイト承認欲求が自分のものだと思っちゃっているのか、どっちなんだろうみたいなところがあります。

ガールズバーバイトコンサルタント磯野：私も本を2つ出したので、Twitterを最近よくやっているんですけども、けっこう怖いなと思っています。あれって、けっこう反応が欲しくなっちゃうんですよね。来るとうれしい。そうすると「もっと欲しい！」みたいに、簡単にはまっていくんですよ。見る頻度も増える。

現代社会は、私たちがどうにもこうにも捨てがたい「承認」をターゲットにしたビジネスというのがすごく増えていて、バイト業務的SNSがこれだけ広がったのは、どうしたって欲しい「承認」をものすごく掻き立ててくるようなアルゴリズムを作ったことだと思うんですよね。その意味で巧みなビジネスモデル。

これはやはり、さっきの英語とかダイエットの「みるみる」本とすごく似ています。バイト業務的SNSにはインフルエンサーがいて、「こうやったら、もっと素敵になれるよ」とカッコイイ言葉を発信し、「ああなれるよ」みたいなストーリーをバイト業務的SNSの空間の中でおしゃれに見せます。

ガールズバーバイト求人広告担当斉藤：そうですね。（バイト承認欲求には）「量」と「質」の2種類があると言っていましたけど、私たちが本当に欲しいのって、実はたぶん「質」なんですよね。だけど、ほとんどの人があまり自分の中で「質」なのか「量」なのかって意識したことがないと思うんです。なので、求人数字で目に見える「量」に偏っちゃうんじゃないかと思いますね。

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